学習の様子で書く 特別な教科 道徳の所見文例

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【道徳科における評価の基本的な考え方】(文科省資料参考)

まず、道徳の評価ってどうするのか考をえてみます。 まず大原則としては、数値での評価はしないこと&個人内評価であることです。

○ 具体的には
・他者の考え方や議論に触れ、自律的に思考する中で、一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか
・多面的・多角的な思考の中で、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか
○ 評価の資料
児童生徒が一年間書きためた感想文をファイルしたり、1回1回の授業の中で全ての児童生徒について評価を意識して変容を見取るのは難しいため、年間35時間の授業という長い期間で見取ったりするなどの工夫が必要。
○ 評価の仕方
・ 数値による評価ではなく、記述式とすること、
・ 個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること、
・ 他の児童生徒との比較による評価ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます個人内評価(※)として行うこと、
・ 学習活動において児童生徒がより多面的・多角的な見方へと発展しているか、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視すること、
・ 道徳科の学習活動における児童生徒の具体的な取組状況を一定のまとまりの中で見取ることが求められる。

 しかし、少々長い文章であれば書けますが、80文字程度(みなさんのところはどうですか?)でこの方向性をすべて網羅する所見は難しいというのが実情ではないでしょうか。しかも、年間を通して、大くくりなまとまりで書くとなると漠然としてきます。結局、具体的な場面を切り取って例を挙げないと個々の成長について具体的に書けないということになってきませんかね。

『所見』の書き方基礎・基本

 通知表の中でも、文章で子どもの様子を伝えるものが『所見』です。学校生活全般について書く「総合所見」「一般所見」の他、「総合的な学習の時間」「外国語活動」そして、次期学習指導要領の改訂からは「道徳」についても、今後は所見を作成することになりそうです。では、どのように書くとよいのでしょうか。初任者にとっては悩みどころのひとつになると思いますので、基礎基本まとめました。

学校統一のルールを知ろう

① 文字数の目安
そもそも書くことができる文字数によって作戦が変わってきます。ここの文例は80字~90字程度の所見を想定しています。

② 語尾や文末の表現
「ですます」なのか「である」なのか。「進級おめでとうございます。」などを書くのか書かないのか。後から直すのは面倒なので事前に確認しておきましょう。

③ 半角・全角の扱い
特に数字です。1桁は全角がしっくりくることもあります。でも、基本的には半角にすることが多いようです。

④ その他の基本的な表記
基本的な表記については、各自治体によってルールが定められている場合があります。特に漢字で表記するものなのか、ひらがなで表記するものなのかも決まっている場合があります。

 あとは、各学校の文化(書きぶりの傾向)がありますのでそこを確かめておく必要があります。押さえておくべき基本を知らずに下書きを進めると、余計な調整が必要になります。また、残念ながらチェックされる方の好みもあります。好みのので、数人書いてみて先にチェックを受けておくといいと思います。 

現段階での文例

オータニサン
オータニサン

道徳の文章表記による評価は始まったばかりです。公的な審議会や研究会も含めよりよい方法を求めて模索しています。ただ、今年から所見を書かねばなりませんので、「現段階」での文例を掲載します。標準文字数は90文字です。かなり厳しいですよね。文例は5年生で考えてみました。

5年生・光村図書 道徳を教科書とした場合はこうなる?

  • 『夢を実現するためには』では、大谷翔平選手の実践を読むことを通して、一つ一つ具体的な方法を決めて努力する気持ちが大切だと気付き、自分の目標についても考えることができました。
  • 『わたしは飼育委員』では、委員会などで自分の役割を果たすためにはどのようなことが必要であるかを話し合い、協力することの大切さや仕事のやりがいについて考えることができました。
  • 『どうすればいいのだろう』では、公正・公平に判断するために必要なことを3つの事例を元に話し合い、自分が実際に迷ったときにどうしたらよいか考えることができました。
  • 『あいさつって』では、4つの事例を読んだり演じたりしながら、あいさつをする側やされる側の気持ちを疑似体験して話し合い、礼儀やマナーの大切さについて考えることができました。
  • 『水がわたる橋』では、江戸時代に建設された「通潤橋」を例に、先人の苦労や努力、願いについて知り、今の生活に広く感謝の心をもって過ごしていくことについて考えることができました。
  • 『一ふみ十年』では、北アルプスの立山を例に、普段の何気ない行動が自然環境に悪い影響を与えている事例や自然を元に戻すことの難しさを知り、自然保護の大切さについて考えることができました。
  • 『曲げわっぱから伝わるもの』では、伝統工芸品の素晴らしさや今抱えている問題を知り、伝統や文化をこれからも守っていくために大切なことは何かを考えることができました。
  • 『絵地図の思い出』について学級で話し合うことを通し、よりよい活動のためには男女に関わりなく友達と助け合うことや、協力して活動に取り組むよさについて考えることができました。
  • 『ケンタの役割』では、2つの役割を同時に果たさなければならず選択を迫られる場面を想定し、優先順位を決めたりできることを探したりすることの大切さについて考えることができました。
  • 『命を守る防災訓練』では、自分の身を自分で守るために、日ごろから避難所への行き方を家族と話しておくなど、万一の災害に対して備えることの大切さについて考えることができました。
  • 『公園のきまりをつくろう』では、様々な人がいる公園の絵をもとに話し合い、みんなが使いやすいようにするためにはいろいろな立場の人の意見を取り入れてルールを作っていくことが大切であると学びました。
  • 『真実を求めて』では、細かな観察から原因を突き止めたナイチンゲールの生き方から学び、疑問に思ったことを追求する思いが、世界を変えるチャンスにつながるのではと考えることができました。
  • 『自分らしさを見つめよう』では、友達や自分のいいところを見つけ合う活動を通してたくさんのメッセージをもらい、人それぞれのよさを伸ばしていくことの大切さについて考えることができました。
  • 『ブランコ乗りとピエロ』では、なぜ対立していた2人が歩み寄ってサーカスを成功させることができたのか話し合い、相手の思いや立場を知り認め合う広い心が必要だということに気付きました。
  • 『道案内』では、道を教えたにもかかわらずおばあさんが困っていたという事例について話し合い、親切な行いをする時も相手の立場に立って考えることが大切であるという視点に気付きました。
  • 『いこいの広場』では、公園でキャッチボールをする中学生の事例から「みんなのもの」という意味について話し合い、「きまり」をどうとらえて行動するべきか考えることができました。
  • 『世界最強の車いすテニスプレーヤー』では、国枝慎吾さんのすごいと思うところをたくさん書き出して話し合うことで、目標の達成や夢の実現には立ち向かい続ける心が大切であると気付きました。
  • 『うばわれた自由』では、森のきまりをめぐり対立する森の番人と王の話から、どのような立場であっても自由には責任が伴い、自律的な行動をすることの大切さについて考えることができました。
  • 『お客様』では、遊園地のショーを観覧する事例から権利や義務について話し合い、きまりを守ることが不公平をなくし、自他の権利を尊重することにつながるということに気付きました。
  • 『だれもが幸せになれる社会を』では、なぜハンセン病に対する差別や偏見が長い間続いたのか話し合い、公正・公平な社会を実現するためには関心をもって正しい知識を学ぶことが大切であると考えました。

6年生・光村図書 道徳を教科書とした場合はこうなる?

  • 『子ども会のキャンプ』では、班長となって活躍する主人公やそれを支える仲間の様子から、集団の中で果たす役割について考えました。日常についても振り返り、陸上クラブで下級生と関わる場面を思い浮かべながら自分自身の意識も高めていました。
  • 『ぬくもり』では、自分の長所を伸ばすことの大切さについて考えました。長所を大切にすることは生きる自信にもつながると気付き、相手のよさを見つけて教えてあげるといった友達としての関わりについても考えることができました。
  • 『すんまへんでいい』では、大事な器を割ってしまった主人公とおやじさんとのやりとりから、心がこもった礼儀とは何かを考えました。お金で簡単に解決しようとするのではなく、まずは誠意をもった言動が大切ではないかと学びました。
  • 『世界人権宣言から学ぼう』では、「自由に意見を言う権利で悪口は許されるのか」という問題について考えました。第29条から権利と身勝手の違いについて知り、言われる側の立場も想像しながら自分の意見をもつことができました。
  • 『世界人権宣言から学ぼう』では、「自由に悪口は言えるのか」という問題について考えました。第30条の他人の権利を奪う権利はないということを根拠に、やはり悪口は許されるものではないという思いを確かにすることができました。
  • 『コスモスの花』では、称賛される友人に嫉妬する「ぼく」の姿を通して、「お互いのよいところを認め合える友達関係がよい。」という意見をもちました。よりよい人間とはどういうものか、考えを深めることができました。
  • 『ここを走れば』では、自分の都合を優先したいときでも交通ルールを守った父親の姿から、法令遵守の大切さについて考えました。法は他人を思いやる優しい気持ちで支えられ、結果的に自分たちも守られているのだと気付くことができました。
  • 『命の旅』では、知床の動物たちが生きる姿や新しい命を残すために死んでいく姿などの命の営みについて知りました。国語の『森へ』の学習とも結び付けながら、自分たちの食事も生き物たちに感謝していただこうという思いを強くしていました。
  • 『自分を信じて』では、鈴木明子さんのスケートと自身の新体操を重ねて考えました。自分を支えてくれているものがたくさんあることに気付き、あきらめずに努力することの大切さについて思いを深めることができました。
  • 『マイルール』では、乗り物で座席を譲るために決めごとをしているというお話から、正しいと思うことを進んで実践するよさについて考えました。自分を振り返り、親切な行動を増やせるよう普段から考えて行動したいという意識を高めていました。
  • 『海のゆりかご』では、自然とはどういうものか話し合いました。一度壊された自然を回復させるためには長い時間がかかることを知り、自分でも掃除をしたりポイ捨てをしないようにしたりするなど、身近なことからやろうと考えることができました。
  • 『なれなかったリレーの選手』では、深夜までゲームをやめられなかった主人公の気持ちを想像して、節度を守ることの難しさを感じていました。時間を決めたりがまんしたりするなど、節制の大切さについても考えることができました。
  • 『みんなおかしいよ』では、登場人物たちの思いを整理しながら話し合いました。相手と理解し合うためには、自分自身の言動もしっかり振り返ってみることや、伝え方に気を付けることなど日常に生かせることがあると気付くことができました。

文字数で書けないなんて本末転倒のような感じですよね。あと50文字くらい使えるならもう少し大きなまとまりにするとか、児童の見方や考え方の高まりにも迫れると思うのですがみなさんはどうですか。具体的な資料名も入れない方がいいのでしょうか。ちょっと漠然としそうですが。子どもの成長やよさを伝える道徳所見文例はまだまだ発展途上。今回の文例は実際に今回考えたものですが、文例の文例ということでご容赦ください。何かの参考になれば。

最終チェックをする

子どものためにと思って書いても伝わらなければ意味がありませんし、無用なトラブルにつながっても仕方がありません。信用問題にもつながりますので、最後によくチェックしましょう。

前期と後期の内容で同じことを書いていないか。
休んだ日の活動について書いていないか。
通知表の成績との整合性はあるか。
保護者が読んでも分かりやすい書き方になっているか。

通知表を書く時の便利ツール、参考資料

 通知表がパソコンで印字されるのであればなおのことですが、「文字数」を意識することが必要になってきます。いちいち考えていられませんので、簡単な数式で文字数をカウントする方法を紹介します。

 高学年で使える参考資料。道徳と外国語の所見文例です。

日々のスキルアップに、『教員向けの雑誌特集』

お疲れさまでした。

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